怖い映画の紹介と怖い本からの連想|スケアリーストーリーズ

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CBS Films & Entertainment One
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どうも、ザムザ(@dragmagic123 )です。

怖い映画を見ました。

アンドレ・ウーヴレダル監督による映画『スケアリーストーリーズ 怖い本』です。

怖いだけではなく、この映画では人間と物語との関係を考えさせられます。さらには、わたしたちが思っているよりも「本というもの」は実はもっとヤバイものなんじゃないか、といったことを思わせてくれるのです。

さしあたっては、当記事では映画の紹介をしつつ、考察というよりかは連想的に関連するいろいろの本も取りあげるなどしていきます。

※この記事では映画に関するネタバレが含まれている…かもしれません。事前にご了承くださいますようお願い致します。

 

この記事で取りあげている画

 アンドレ・ウーヴレダル『スケアリーストーリーズ 怖い本』,CBS Films &Entertainment One

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怖い映画の紹介と怖い本からの連想|スケアリーストーリーズ

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映画紹介

 映画『スケアリーストーリーズ 怖い本』を検討する上で基礎となる情報を確認します。

作品情報

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ここでは映画『スケアリーストーリーズ 怖い本』の元となった原作本のヤバさと、そのヤバさにもかかわらず子供たちが読みたがる魅力に加え、米国の恐怖物語を収集することで成立した作品事情から類推した、日本における恐怖物語の収集活動についてご紹介します。

怖い映画、怖い本

 『スケアリーストーリーズ 怖い本』は世界的フィルムメーカーと謳われるギレルモ・デル・トロの発起、アンドレ・ウーヴレダルの監督によって製作されたホラー映画です。本作はデル・トロ10代の頃に読んだ児童書《スケアリーストーリーズ怖い本シリーズ》を基にしています。

 《スケアリーストーリーズ 怖い本シリーズ》はヤバい本でした。作者アルビン・シュワルツが児童書として発表したものですがエグい描写が刺激的で、加えてスティーヴン・ガンメルが担当した挿絵も夢に出てきそうなほどのインパクトがあり、子ども向けのものとしては相応しくないとの指摘もあったとのこと。

 児童書《スケアリーストーリーズ 怖い本シリーズ》のヤバさは1981年の刊行以来、「読みたがる子供たち v.s.読ませたくない親たちのイタチごっこ」が今なお続いていることからも頷けます。オムニバス形式で語られる恐怖ストーリーはどれも道徳的なオチもないままに、ただ恐怖、ただ残虐。──教育熱心な親にとっては触れさせたくない有害な精神作用物質でしかないでしょう。今では学校図書館にも置かれているそうですが、それでも親からはの苦情が寄せられることもあるのだとか。

 (スティーヴン・ガンメルの絵に関しては日本だと「見たら呪われる画像」として流通していた記憶をお持ちの方もいるでしょう。ご興味がお有りの方はこちらで確認してみてください。Googleの検索結果が見られます。)

 

子供たちが求める刺激

 子供たちが道徳的で退屈な物語ではないものを求める。これはヴィクトリア朝時代の英国でもそうでした。当時も道徳的な物語に飽き飽きしていた子供たちはナンセンスなものに関心を向けました。ルイス・キャロルによる『不思議の国のアリス』のことです。キャロルの物語は感覚的ではない「知的な言葉遊びのおもしろさ」です。

 他方で、同じ道徳的狙いがない《スケアリーストーリーズ 怖い本シリーズ》の方は極めて感覚的で、「感性的な想像力のおもしろさ」だと言えるでしょう。

 子供にとって退屈はとても我慢できるものではありません。

 無感動な退屈を晴らすもの、それが感覚的な刺激であることは、映画の評価として使われる言葉が「泣ける」「笑える」「怖い」「エロい」「グロい」などのどのような刺激を与えてくれるかを表現するものであることからも頷けます。

 

子供たちに怖い話を

 作家アルビン・シュワルツは《スケアリーストーリーズ 怖い本シリーズ》の恐怖物語集を編むに当たって、雑誌や民俗学者などから全米に伝わる言い伝えを収集しました。語り伝えられる物語を集めたシュワルツが作家であると同時にジャーナリストでもあったことは、柳田國男という民俗学者を連想させます。

 柳田國男も研究者の傍ら朝日新聞社というジャーナリスティックな世界に身を置いていました。そんな彼が佐々木喜善から伝え聞いた話をまとめて『遠物物語』を発表したのは有名です。民俗学者の岩崎敏雄が著した『柳田国男の分類による日本の昔話』なども、柳田の物語収集があっての物種です。

 恐怖物語の収集という点では、日本だと「学校の怪談」がよく知られているでしょう。日本の学校図書館にはおなじみのジャンルです。「学校の怪談編集委員会」のグループが『学校の怪談大事典』をまとめて、そこから多くの児童を対象にした恐怖物語が生まれました。こうした事情は シュワルツが言い伝えをまとめて児童向けの恐怖物語集を発表したことと重ねられます。

 

作品内容

ここでは映画『スケアリーストーリーズ 怖い本』のあらすじと登場人物をご紹介します。

あらすじ

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映画『スケアリーストーリーズ 怖い本』のあらすじは次のようになっています。引用は公式サイトから。

ハロウィンの夜、町外れの幽霊屋敷に忍び込んだステラたちは地下室で一冊の本を見つける。ページを開くとそこには噂に聞いた怖い話の数々が綴られていた。作家志望のステラはこっそり本を持ち帰るが、翌日から仲間がひとり、またひとりと消えていく。のどかな町で起きた不可解な失踪事件。彼らの身を案じていたステラたちは、本の余白ページにひとりでに文字が浮き出て、新たな物語が書かれていくのを見てしまう。しかも主人公は消えた仲間たちで、それぞれがいちばん怖いものに襲われる物語がそこにあった。毎夜新たに綴られる怖い話。彼らはどこへ消えたのか?次の主人公は誰なのか?怖い本からはだれひとり逃げられない

 

登場人物

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映画『スケアリーストーリーズ 怖い本』の主要な登場人物は以下の通り。

  • ステラ:内向的でホラー好き、恐怖小説小説家志望の女子高生。田舎町で浮いた存在
  • ラモン:徴兵を逃れて放浪しているメキシコ系アメリカ人
  • オギー:チャックと共にステラの友達。神経質な臆病者
  • チャック:オギーと共にステラの友達。いじめっ子の標的になりがちなタイプ
  • ルース:チャックの姉。異性の目が気になるティーンエイジャー。弟思いの一面もある

 

映画を解読する

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 ここでは映画『スケアリーストーリーズ 怖い本』について書いた記事を載せておきます。本当はここに書くことを予定していたのですが、あまりに長くなってしまったので、別途記事を作成することにしました。

 怖い本のことを考えていたらか、もしかすると論理的に怖い記事になっているかもしれません(笑)

 全三部にわたる記事ですが、書かれていることをざっくり言うと以下のことです。

  • 読者は本の読者であることで、本に書かれた物語から一方的に傷を受けることになる。
  • 読者が物語の登場人物になる本があれば、物語から受ける傷は物語作者によって治癒する。
  • 人が「読者−登場人物−作者」になるときには〈本〉の概念による世界が生きられている。
  • 読者が作者として本の使用法を問うときには〈神〉を信じるように〈本〉が信じられている。
  • 「読者であるままに一人の登場人物として作者でもあること」が、本に準拠した実存である。

  おおむね、筆者であるザムザは「本を読んでいる側であった読者が、自分が読んでいる物語の登場人物になっていて、その謎を解くためには自分も物語の作者にならなければならない」という『スケアリーストーリーズ 怖い本』の構造に惹かれてしまったようです。そのことに感動したのはいいんですが、それがいったい人間にとってどういう経験なのかを考えていたら長々と書いてしまうことになったのでした。

 

まとめ

映画『スケアリーストーリーズ 怖い本』は怖い映画です。また、怖い本に関する怖い映画という構造には別のおもしろさも多分に含まれています。一冊の本を前にして読者であること、その本に書かれた物語の登場人物になってしまうこと、それから本に物語を書く作者であること。いずれもがこの映画で描かれるひとりの本の読者の精神史です。そこから人間と物語、人と本との関係への問いに誘惑してくれもする、そんな映画なのです。もちろん、そんなことを考える必要もなしに、おもしろい映画ですので、ぜひ見てみてください。

_了

関連資料

 

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