【参加レポ】マルチスピーシーズ人類学研究会:ケアの共異体を巡って

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こんにちは。ザムザ(@dragmagic123 )です。

今回は立教大学で開催されたマルチスピーシーズ人類学研究会に参加して勉強したことをまとめた記事を書きました。日時は2019年6月27日。研究会のタイトルは以下。

第29回マルチスピーシーズ人類学研究会「ケアの共異体」 

ここではわたしがマルチスピーシーズ研究会に参加した動機を記しておきます。それによって本文を書くにあたっての筆者のバイアスが読者にもうかがえることでしょうから。

  • わたしは「対人不安症」と「社会適応障害」という診断を医者から受けたことがあります。ようするに他人や社会が苦手だったのですね。それ以降、精神分析や精神医学などの本に手を出し、当事者研究などの集いにも参加したりなどしました。
  • その結果、多くの人がそれぞれに〈生きづらさ〉を抱えていることを知りました。同時に、他人や社会とうまく馴染めない彼らとも馴染めない自分自身にも気付きます。
  • 自分たちの〈生きづらさ〉が、単純に「マイノリティの共同体」として束ねられるものではないと、多くの人が感じている。そこでの問題の多くはお互いが違っていること・異なっていることによるものであるように感じたのでした。

以上のエピソードをわたしのマルチスピーシーズ人類学研究会に参加した動機へと繋げてみましょう。

  • わたしが興味を持ったのは「ケアの共異体」という研究会のテーマでした。「共同体」ではなく「共異体」。まずわたしはその言葉を「誰しもが共に異なっているような共同体」と読みました。または「共に異なった体を持っているわたしたち」というふうに。
  • かつて対人不安症と社会適応障害と言われたわたしが出会った「マイノリティの共同体の困難」もしくは「マイノリティであるところの自己」を考える手がかりになるのではないか。――そう、思ったのです。
  • 加えて「ケア」という言葉からも、「人が生きるうえで誰もが感じないではいられない〈生きづらさ〉への対処・対応」を連想することは容易すかったのでした。

以上がおおよその参加の動機です。

かくして2019年6月27日、台風の接近を受けて傘を手にする人々にまぎれて、池袋の駅を降り、わたしはマルチスピーシーズ人類学研究会の会場たる立教大学へと赴く運びとなったのでした。

 以下、目次です。

目次
  1. 於:第29回マルチスピーシーズ人類学研究会(p2-)
    1. 於:近藤祉秋「『人間以上のケア』に向けて」
      1. 傷ついた惑星をケアするディープエコロジスト……でいいのか?
      2. 『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』と異種間の共生のテーマ
      3. 異なりを含んでいる種の集いが共異体(ただし個別の種や個体の有限性は要配慮)
    2. 於:山田祥子「見えない川を語り演じる」
      1. 人新世・人間中心主義・傷ついたランドスケープ
      2. 桃園川=異種間をつなぐインターフェース
      3. 人新世的なクロノトープを語ることで異種と共生している時空間に気づく
    3. 於:合原織部「サルとともに暮らす」(p3-)
      1. 人間も苦悩するようにサルもまた苦悩するケアすべき主体である
      2. 椎葉村の住民とサルとの共生関係は恨みと畏れが同伴している
      3. 共生の実感としての「サルは地域に住んでいる」
    4. 於:濱野千尋「動物性愛者のセクシュアリティと相互的関係」
      1. 動物性愛者は動物を性愛のパートナーとして受け入れる
      2. 動物性愛者たちの葛藤:動物とのセックスはレイプでしかない?
      3. セックスは人間が動物に接するときのひとつのアイデアである
    5. 於:工藤顕太「模倣の性愛――ユカギールと精神分析――」(p4-)
      1. ユカギールのアニミズム的な経験世界は「鏡の回廊」である
      2. ユカギールのハンターは動物のソウルを誘惑する
      3. ユカギールの経験世界では実践のうちに別次元同士が同時に立ち現れる
    6. 総括:ケアの共異体――あるいは変容する諸自己の痛み分け
      1. 五人の発表まとめ
      2. 共異体とは「棲み分け」ではなく「痛み分け」である
      3. 人間以上のケアとは諸自己の変容のプロセスへの配慮である
  2. 研究会の後で:ケアの過程へ ~ぼんやりとした自己のために(p5-)
    1. 〈生きづらさ〉を抱えるマイノリティに目配せを
    2. 〈生きづらさ〉はケアの行いを介して変性する
    3. 〈生きづらさ〉の変性はぼんやりとなされる
  3. まとめ:認識論から存在論へ

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